映画~愛と悲しみのボレロ~
ダンスと音楽に惹かれ三時間の大作
『愛と哀しみのボレロ』を観た。
今はやりの言葉で言えば、びっくりポン!
よもや戦争を描いた作品だったとは・・
しかもディープに描いてある。
たまたまNHKの「世紀の映像」でヒットラーを取り上げていた
番組を見ていたので映画の背景を把握することができた。
この映画を見るときはフランス、ロシア、ドイツ、アメリカの
関わりを予備知識として持つことをおすすめ。
劇中のナレーションが
「親と同じような生き方を子供もする、
国も同じようなことを繰り返し、
一つの戦争が終われば次の戦争をはじめる」
ボレロという形式が同じ旋律を違う楽器で繰り返し、
最後にそれらが集結していくように
人生もそれであるということを重ねていく。
四つの国の四組の男女の人生が交錯していく物語で
おまけに親と子と孫まで同じ俳優が演じていくので
後半からは誰が誰やら頭がこんがらがってくるが、
それでも三時間を飽きさせずに見る側を引き付ける。
そして、フランス映画のお得意で、
悲劇と人生の残酷さがさらりと描かれていく。
かなり残酷な出来事なんですけどね、
でも、それを残酷とまでは感じないまま
日々を生きているのが私たち。
また、大人の国にふさわしく、”大人の関係”が
少し喜劇性を帯びて描かれるのもフランス風で
面白いといえばおもしろい。
よく理解できなかったのが、ラストに赤十字のレッドクロスが
やたらとデフォルメされているようで、
これは良心的にとらえるべきなのか、何かの揶揄なのか・・
ラストシーンは軍用ヘリコプター二機が
エッフェル塔の上空を飛んでいく。
これはのちに来るベトナム戦争の暗示ではないのか。
歴史は繰り返されるのである。
面白いのは、各国の文化(音楽)の醸し出す雰囲気の違いを
見事に描いている点だ。
「地獄の黙示録」でもアメリカとフランス(ベトナムはフランス領だった)の醸し出す文化の違いが際立っていた。
四つの国の文化の在りようを感じる興味深い映画だった。
英語で歌いましょうよ、という誘いを無視して
フランス語で朗々と歌い上げる若者。
フランスとアメリカの友好ととるか、皮肉ととるか
それは見る人によって違うんだろうな ^^
最後に
ジョルジュ・ドン、マイヤ・プリセツカ、シルヴイ・ギエムの踊る
「愛と哀しみのボレロ」のURLを貼っておきます。
時間のある時にぜひご覧あれ。
by tokinoyakata
| 2016-01-03 00:13
| 映画・ドラマ