記憶の谷間
ただ、混雑していないから
その理由だけで立ち寄る田舎の簡易郵便局
そこの年老いた主は
「また、来いやんせな」と毎回声を掛けてくる
すっぽりと老人だけが居住する浦島の村に
四季折々の花々がやたらと威勢がいい
とっくの昔に子供が消えたこの廃校も妙に生きている
この近くで若者が命を落とした
それを知ってか知らずか
大イチョウも桜も喜々と枝を伸ばす
通りすがりの県道を隠れみのにひそかに息づく生
扉を開ければ翁と媼
そして、記憶
by tokinoyakata
| 2014-05-31 23:28
| 幻想写真館